ウィルスは目に見えませんが、「換気が不十分な密閉空間」を空気の淀みで感じることはできますね。ライブハウスなどに行った時、休憩時間に窓(窓がなければ入口)を開けて空気を入れ替えてほしいな、と思うことがよくあります。
普段から居る場所の換気に敏感になることが、コロナウィルスの感染予防にもつながるのではないでしょうか。
家の中でも意外におろそかになる換気、暖かくなってきましたので、こまめに外気を取り込み、気持ち良く過ごしましょう!
「空気はどのくらい必要か?」 中島桂一著 「家づくりの 本当はどうなの?」より
人は空気が無くては生きていけません。特に脳は、約5分間酸素の供給が止まると重い障害が残るそうです。
水蒸気を除いた乾燥空気は、主に酸素(21%)と窒素(78%)とその他の微量成分で構成されていますが、二酸化炭素も約0.03%程含まれています。この二酸化炭素の濃度は健康上0.1%を越えないことが望ましいとされています。
新鮮な酸素の十分な供給と炭酸ガス等の排出がしっかりと行われる環境を確保することは、健康な暮らしにおいては最も重要です。
ここで問題です。
Q 大人ひとりが健康な状態を保つために必要とする新鮮な空気の量は、1時間あたりどれくらいでしょうか?
A ペットボトル数本(5~10リットル)くらい
B ドラム缶(200リットル)くらい
C 8畳ひと間分(約30,000リットル)くらい
答えはCの8畳ひと間分(約30,000リットル)くらいです。
これをもとに40坪の家に4人で暮らすと仮定して計算すると、おおむね1時間あたり0.5回の換気、つまり1時間に家の空気の半分が入れ替わることが必要という計算になります。
徒然草に「家の作りようは、夏を旨とすべし」という言葉があるように、昔の日本家屋は夏を涼しく過ごすために風通しの良い造りになっていました。畳を剥ぐと板がまばらに敷いてあるだけで、床下の空気が畳を通って部屋に入り、天井裏から外へと抜けていきました。壁も建具も隙間だらけでしたし、さらに地窓やランマ窓などの高低差を利用した窓がある家も多く、効果的に(時には過剰に)通風や換気を行えるようになっていました。
しかし、現代の密閉された部屋の床で寝ていると、比重の重い二酸化炭素が比重の軽い酸素を押し上げて、しだいに酸欠の状態になっていきます。もしも換気が十分でない場合は窒息こそしないまでも、慢性的に体や脳に十分な酸素が供給されない状態が続き、寝苦しくて十分な睡眠が取れなかったり、体や脳の疲労回復、子供の脳の健全な生育に悪影響が出かねません。無理に酸素を送ろうと心臓に負担がかかれば、心臓や血管の病気にも影響するのではないかと心配になります。
また、二酸化炭素だけでなく、ホコリや湿気、ダニ、カビ、さらに建材や家具、衣類や化粧品などから揮発する化学物質によって引き起こされるアレルギーも大きな問題になっています。
これら室内の空気汚染の問題は「シックハウスシンドローム」と呼ばれています。原因物質は昔からありましたが、1990年代に入り、住宅の気密化と共に問題が顕在化してきました。
最近では省エネや壁体内結露の防止などの観点から、さらに高気密化が進められています。換気は生き死にに関わるような病気に直接関係します。換気に対してよりいっそうの注意をはらう必要性が高くなってきています。
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