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執筆者の写真中島桂一 一級建築士事務所

冬には陽が入り、夏には入らない窓は?

 今年はお盆からずっと雨続き…昨日、今日は久しぶりに青空が見え嬉しかったですが、蒸し暑さに参ります‥西日本では大雨の被害も出て大変ですね…早い復旧を願っております。

 厳しい気候が続いていますので、皆様、くれぐれもご自愛ください。


 雨ばかり続くと太陽の光が恋しいですね~

南窓の特徴についてのお話です。興味のある方はぜひお読みください。



「冬には陽が入り、夏には入らない窓は?」

中島桂一著「家づくりの 本当はどうなの?」より


 冬になると燦々と陽が降り注ぎ、逆に夏はほとんど陽が当らないという、というまことに都合の良い場所があります。それが南の壁面です。したがって、昔から日本の家は南向きに建て、しかも南面には掃き出しの大きな窓を設けるのが基本でした。これは、主に太陽の南中高度と日の出と日の入りの方向が、季節によって変化するために起こる現象です。

 1日の中で太陽が一番高く上がるのは太陽が真南に来たとき、つまりお昼頃です。この時の角度を南中高度といいます。東京を例にとるとこの南中高度は夏至が一番高くて78度、直角に近いくらいの角度です。冬至の時が一番低くて30度、三角定規の一番小さい角度です。夏はほとんど真上から日が当たるために屋根はよく日が当たり、南の壁はほとんど日が当たりません。冬は横から日が当たるため、南の壁には良く日が当たり、屋根にはあまり当たりません。

 また、冬は南東から日が昇り南西に沈むので、東西の壁には朝と夕方の短い時間しか日が当たりません。夏は早い時間に北東から日が昇り、遅くに北西に沈むので、東西の壁には朝と夕方にほぼ真横から真夏の太陽が照りつけます。




 このように東西南北の日の当たり方は季節によってそれぞれ異なる特徴があります。この特性を最大限に利用し、太陽の恵みを有効利用することは、健康的な省エネ生活の基本であると言えるでしょう。

 日射量が夏に少なく、冬至にピークが来る南の窓は、夏涼しくて冬暖かく健康的に過ごすためには「だいたいにおいて」好都合です。このため、掃き出しや肘掛けなどの大きく開放的な窓が効果的ですが、補助的に細かい工夫が必要です。夏至と暑さのピークには、1~2か月くらいのタイムラグがあるからです。

 夏至は6月20日頃ですが、暑さがピークを迎えるのは7月の下旬あたりからです。さらに残暑の頃は夏至から2ヶ月以上過ぎています。このため、まだ暑いのにそろそろ南の窓から日が入り始めます。そこで、窓に庇をつけたり、軒の出を長くすることで夏の日を遮る期間を長くできます。しかし、この庇や軒の出が深すぎると、今度は冬の日までも遮ってしまうので、状況によって加減が必要です。したがって残暑の頃は南面にも補助的にヨシズやすだれ、のれん、緑のカーテンなどの日避けの工夫が必要になります。

 当社のロビー吹き抜けの南面には、床から2階天井までの大きな窓があります。「明るくていいけど夏は暑くないですか?」とよく聞かれますが、南に向いているために夏はほとんど日が入らず、冬には部屋の奥まで日が入って非常に快適です。しかし、もしこのロビーが東か西に向いていたとしたら、冬は寒く、夏は灼熱地獄になっていたでしょう。

 5月に当社のシンボルツリ-だったメタセコイアの大木を伐採、木陰がなくなり、ロビ-からは空がたくさん見えるようになりました。室内はさらに明るくなり、日が直接入らなくても、散乱光や反射光の影響でその分暑くなりました。状況の変化に応じて、やはり日避けの工夫が必要になってきます。



〔伐採前〕



〔伐採後〕 

空が広くなり、室内が明るくなりましたが、木陰がなくなりその分暑くなりました。

 


外に農業用の遮光ネットを張り、日避けの工夫をしてみました。

木陰には敵いませんが、効果はてきめんです。

             

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