梅雨明けが近づいてきました。今年は本当に雨がたくさん降りましたね…蒸し暑い日が続いておりますので、皆様くれぐれもご自愛ください。
今回は体感温度のお話です。体で感じる温度(体感温度)には、気温や日照だけでなく、湿度や風(気流)も関係しています。
気温が同じ30度であっても、空気が乾燥していてカラッとした天気の日よりも、湿度が高くジメジメした日の方が、より暑く感じます。
湿度が変化するだけで体感温度は大きく変わります。湿度が高い方が温度が伝わりやすくなるからです。特に気温が23度を超えたあたりから急に影響が出るそうです。
昔から住宅の材料として使われてきた木や紙、土などには、湿度変化の波をおだやかにする働きがあることが知られています。
湿度を調節する働きは、湿度の高い日本の夏を衛生的で快適に過ごすためにはとても大切です。太平洋側の地域では、冬の過度な乾燥を抑えることによってインフルエンザウイルスの繁殖を抑える効果が有ります。
人間は主に皮膚表面の汗の気化熱によって体を冷やしています。気温が体温より高くても放熱できるのはそのためです。(犬などは体温調整のための汗腺が鼻の頭や足の裏にしかないので夏には弱く、地面を掘って冷たい土に腹を直接付けて冷やす光景をよく見かけます。)
効率よく気化熱を奪うためには空気の流れが必要です。風速が1m早くなる毎に約1度ほど体感温度が下がります。このため、夏は窓を開けて風を入れたり扇風機を回すことで涼をとります。冬は逆で、わずかなすきま風さえも寒く感じて防ごうとします。
かつて、アリゾナの砂漠で気温50度の世界を体験したことがあります。乾いた熱風が強く吹き付ける中、宿のプールに飛び込んだのは良かったのですが、出ると水がまるでアルコールのようにいっきに蒸発し、体が乾くまでの数秒間はスーッとして震えるほど寒かったのを覚えています。
夏、うっすらと汗ばんだところへ風が吹いてきた時の気持ち良さや、風を利用して涼しくする(感じる)ためのヨシズやすだれ、打ち水、風鈴などの工夫は、ストレス解消や情緒の安定、感性の発達といった心の面、さらには日本文化の醸成にも影響しています。
風通しの良い環境は、暑い時期に体を冷やし、家の中に溜まった熱気や湿度を外へ逃がす働きをすることで、健康だけでなく衛生面、経済面でも重要です。
住宅設計士 中島桂一著「家づくりの 本当はどうなの?」より
一昨年出版致しました中島桂一著「家づくりの 本当はどうなの?」では他にも、30年以上住宅の設計と施工業務に関わってきた経験から、お客様との打合せの中でよく話題に上がる「家づくりの意外な真実」をいろいろ取り上げております。
これから新築やリフォ-ムをお考えの方に、興味のあるところだけでも読んでいただき、家づくりの入門書、手引書としてお役立ていただければ幸いです。
*詳細はこちらのペ-ジをご覧ください→住宅設計士 中島桂一著「家づくりの 本当はどうなの?」
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